セサミ読書日記

本の紹介など

火星の人類学者

この前の土曜日、台風が上陸していたため、一日中家の中にいました。全く外に出れないというのは、つまらないなぁと思っていたら、この台風のおかげで面白いものに出会えました。

テレビで全国高等学校演劇大会の最優秀作品を上映していました(※世間と乖離しかけたので、最近たまにテレビを見るようになりました)。最初は観る気はなくて、作業をしながらなんとなくかけていたのですが、面白くて結局全部観てしまいました。

逗子開成高校演劇部のオリジナルで、ゾンビを題材とした『ケチャップ・オブ・ザ・デッド』という作品です。

映画を撮影していた大学生が、首吊り自殺をしたゾンビ(幽霊?人間?)に出会うという内容です。生きている意味が見いだせなくて自殺してしまった高校生(※多分)がゾンビになってしまうという内容は、普通に考えたらとても暗くて切ないのですが、それをコメディタッチにすごっく面白い内容に仕上げていました。登場人物のキャラも魅力的です。ゾンビの動きは『ゾンビランド』という映画を見て研究し、改良していったそうです。


映画『ゾンビランド』予告編

『ケチャップ・オブ・ザ・デッド』は『弱者への視線』をテーマとし、「弱者として都合のいいように使われてしまう人間への視線というものを含みをもたせてやってみた」そうです。テーマは真面目でシビアな事柄ですが、あえてコミカルに笑わせながら伝えることで、受けて側を笑わせつつも、同時に、様々な側面を深く考えさせてしまうように思いました。伝え方の絶妙さが本当に本当に上手いのです。

 

そんなことを考えていたら、ニューヨークの国連本部で開催された「気候行動サミット」でのグレタ・トゥンベリさんの演説を思い出してしまいました。彼女の演説の内容自体に関しては、あと2、3回くらいに渡って書いていきたいのですが、問題なのは彼女の伝え方なのです。

9月24日のAFP通信によると、

「私たちは大絶滅の始まりにいる。それなのに、あなた方が話すことと言えば、お金や永続的な経済成長というおとぎ話ばかりだ。よくもそんなことを!」と怒りをあらわにした。

とのことです。ニュースなど映像で目にした方もいるかもしれませんが、私はこれを見て、あちゃ~~と思いました。誰か彼女に、上手な伝え方を教えてあげればよかったのに、これでは台無しだぁ・・・と非常に残念に思いました。

おそらくグレタさんは、環境に関する深い知識を有し、長年頑張って行動してきたからこそ、このような感情的な態度になってしまったのではと推測するのですが、正直これでは逆効果ではと思いました。ものすごく残念です。これだと、彼女が訴えようとする内容に、耳を傾けまいとする人々が増えてしまうと思ったからです。

しかし、それよりもはるかに私が残念に思ったことは、日本の環境大臣小泉進次郎氏がサミット開催時のニューヨークで「毎日でもステーキを食べたい」との発言です。

小泉氏が個人的にステーキが好きなのは全く構わない(※というかどうでもいい)ことですが、気候行動サミットにおいてこのような発言がどのような意味を持つのか、海外やニューヨークの人々にどのように受け取られるのか、次回に書いていきたいと思います。

 

で、今回の本の紹介なのですが、上記の事柄とは直接的には全く関係ないのですが、風が吹けば桶屋が儲かる的な感じで繋がっていきます。

オリバー・サックス著『火星の人類学者:脳神経科医と7人の奇妙な患者』です。二十年以上前ですが、私が予備校の生徒さんにサックス氏の『妻を帽子と間違えた男』をすすめたらところ、一人の生徒さんが「私は『火星の人類学者』を読んだことがあります。すっごく感動したので、よかったら読んでください」と言ってきてくれました。そしてこの本は、私が最も好きな本の1冊となっています。本の帯にはこのように書かれています。

「脳障害がもたらす創造的な力。常識をくつがえす患者たちの驚くべき世界を報告し、全米ベストセラーとなった。医学エッセイの最高傑作」

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF)

 
妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

妻を帽子とまちがえた男 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

オリバー・サックス氏の著書はどれもおすすめです。大人びた小学生ならば読めますが、ちょっと難しいと感じた場合は、『レナードの朝』という、サックス氏がモデルとなっている映画を代わりにおすすめします。


レナードの朝 - 予告編