ファクトフルネス2020:その1
『社会と文化は常に変わり続けている。小さくてゆっくりとした変化であっても、積み重ねれば大きくなる。毎年1%の成長では遅いと思えても、70年続けば倍になる。2%なら35年で倍だ。3%ずつ成長すれば、倍になるのに24年しかかからない。
紀元前3世紀に世界で初めて自然保護区域をつくったのは、スリランカのデーワー・ナンピアティッサ王だった。ヨーロッパで同じような考えが生まれたのは2000年も後で、イギリスのウェスト・ヨークシャーが初めてだった。アメリカでイエローストーン国立公園ができたのは、その50年後だ。
1900年までに、地球上の0.03%の土地が保護された。1930年にはそれが0.2%になった。本当に少しずつ、10年単位で森林がひとる、またひとつと保護され、保護区域の面積は増えていった。1年単位の増え方は微々たるもので、数字に表せないほどだ。でもいまでは地表の15%が保護区域になり、その面積は増え続けている。』
(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ローランド著『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』日経BP社、2019)
仕事が緊迫しているとき、彼(※ハンス・ロスリングのこと)はいつも周りの人に、こう叫ぶよう促した。
「夜通し進め!」
そして事態が絶望的とわかると、彼は笑って言うのだった。
「あきらめることはいつだってできる。だったら何も今あきらめなくてもいいじゃないか」
(ハンス・ロスリング、ファニー・ヘルエスタム著『私はこうして世界を理解できるようになった』青土社、2019)
あけましておめでとうございます!
『セサミ読書日記』というタイトルに沿って、やっと本の紹介をします!
昨年私が読んだ本で、最もグァァァァ~ンという衝撃を受けた2冊の本を紹介します。
①ハンス・ロスリング他著『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
②ハンス・ロスリング著『私はこうして世界を理解できるようになった』
①については、最初は電子書籍で買ったのですが、良すぎて紙の本も買ってしまった。何やってんだか。電子書籍だと、手軽にハイライト(蛍光ペンみたいなもの)が引けるのですが、蛍光ペンだらけで、もはや何から手をつければいいのやら、書きたいことが多すぎるのだ~~~!まとめきれない、どうしよう!!!
世界の色々な事柄のデータをまとめて、物事の見方について書いた本です。そう聞くと、結構ドライでシャープで効率的な思考の本かな、なんて思っていたのですが、いやいや、私の頭は除夜の鐘で108回打ち付けられたくらいの衝撃でありました。
2018年に発売され(日本では2019年)、世界で200万部、日本でも2019年のビジネス書・実用書ランキング1位。
かのビル・ゲイツ氏は、「名作中の名作。世界を正しく見るために欠かせない1冊だ」と評し、2018年にアメリカの大学を卒業した人(学士号・準学士号・修士号を取得した人)で、ビルゲイツのブログに登録して大学名を入力しさえすれば、希望者全員に、この本を無料でプレゼントしたそうです。
著者のハンス・ロスリングはスウェーデン出身の医者で、大学時にモザンビーグの独立運動の初代指導者と出会ったことをきっかけに、大卒後モザンビーグで医者として働きました。ロスリング氏の言葉を借りると、「スウェーデンの100分の1の人材・資源で、100倍の患者を診なければならない」という超現場の人です。タピオカの原料であるキャッサバに毒が含まれ、これによって足などに麻痺が起きることを突き止めた人でもあります。その後、WHO(世界保健機構)やユニセフなどで保健アドバイザーを務め、スウェーデンにおける国境なき医師団を設立します。世界中を講義して周り、その後の色々についてはこれから書いていきたいと思います。
世界中の現実に飛び込んで働きまくってきた医者が、統計という数字を用いることによって、世界の見方を提示しているのです。単なる楽観主義的な言葉ではなく、統計と数字だけで論じるのでもなく、世界中の現場から培ってきた経験を元に、人類は絶え間ぬ努力によって少しずつ少しずつ進歩し、世界をより良くしていったのだと。だから、多くの人々が気づいていない様々な偏見を取り除いて正しく冷静に見つめ、1mm1mmずつ進めていくことで、解決することができるのではないか、そんな大いなる希望を与えてくれる本です。
『わたしは日頃から、人類のすばらしい進歩について誰かに語るたびに、「ハンスさんは楽観主義社なんだね」とレッテルを貼られる。正直、いい加減にしてほしい。わたしは楽観主義社ではない。楽観主義社というと世間知らずのイメージがあるが、わたしはいたって真面目な「可能主義者」だ。
「可能主義者」とは、根拠のない希望を持たず、根拠のない不安を持たず、いかなる時も「ドラマチックすぎる世界の見方」を持たない人のことを言う。ちなみに「可能主義者」はわたしの造語だ。可能主義者のわたしは、「人類のこれまでの進歩を見れば、さらなる進歩は可能なはずだ」と考える。
単に楽観しているわけではない。現状をきちんと把握し、生産的で約に立つ世界の見方をもとに行動している。』
(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ローランド著『FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』日経BP社、2019)
これから少しずつ説明していきますが、①は全400ページ、②は全300ページの本なので、読書はちょっと苦手、という方は、次の動画を観ても、面白いかもしれません。
正直私は、中田敦彦氏の動画で知りました。すごくいいです。しかし、本を読むと100倍くらい深まりますよ!
【FACTFULNESS】データを基に世界を正しく見るファクトフルネス〜①〜ビル・ゲイツやオバマ元大統領が大絶賛した名著
ハンス・ロスリング自身による熱演に耳を傾けてもいいかもしれません。私はこの動画が大好きなのですが、英語字幕しかない・・・グラフの説明だけで、絶賛の嵐です!
The best stats you've ever seen | Hans Rosling
日本語字幕のある動画はこちらです。
How not to be ignorant about the world | Hans and Ola Rosling
異常気象による自然災害の損失額は、年間25兆円!
久しぶりのブログ再開です。
『Python超入門 ~モンティと学ぶはじめてのプログラミング』は、1月30日に書店に並ぶ予定です! やったぁ~、ぱちぱち。
本当はもっと早く出版できる予定だったのですが、色々とあり、私がインデザインでレイアウトを全て作り直しました!フォントの種類や大きさやレイアウトを全て変え、一部の図などをゼロから作り直しまし、大変でした。フォントの勉強、インデザインの使い方を勉強し、11月から約1ヶ月半、私は1日おきに徹夜でした、ほんと。徹夜と言っても、寝てはいるのですが、授業終わってから翌日のお昼頃までず~~っと作業を続け、家帰ってネコにご飯あげて家事をしてお風呂に入って寝て、夕方に起きて授業。その繰り返し。早ければ朝の8時ごろに帰れるけど、遅ければ13時過ぎにやっと帰る、といった生活でした。5時間10時間があっという間で、好きでやっているので大変だけど全くストレスではないのです。また、文章についても何度も何度も推敲ができました。おかげで、今の私にとっては精一杯のことができたので、すごく良かったです。
小学生から大人まで、プログラミング初心者が、わかりやすく楽しんでプログラミングに取り組めます。プログラミング入門書としては、日本一、いや世界一です!
ふすいさんの表紙が素敵で、ジャケ買いもOKです。表紙だけでも買う価値があります!(著者として、それでいいのか・・・)
原稿の最終訂正を終えてやっと一息つくことはできず、会社の決算が待っていました。12月末締め切りと思い、頑張って泣きながらえいやっと仕上げて町田税務署までもっていったのですが、やり直しを命じられ、今やり直しています、しくしく。
町田税務署の方は非常に親切なので、年明け早々、1月6日に指導してくださることになり・・・それまで少しでもましなものに作り直せねばなりませぬ。
お正月は授業と税務に頑張ります!
そんなこんなで、今日やっとこさぼさぼさの髪を切る時間が取れるようになりました。
早く、セサミチャレンジの企画を作りたいのであります。
現時点では、いくつかのデータを提示するので、そのデータを分析して何らかの結論を導く、という内容を考えています。
小学生は小学生なりに、平均やグラフを使って分析し、中高生は数学の統計学やPythonを使って分析してもらおうというものです。算数・数学を、テスト勉強や入試のためだけでなく、実生活でも役立て、しかも深い洞察力を身に付けることができます!と思う。
賞品もつけます!金・銀・銅賞の賞品はこれから考えます(スポンサー頑張って見つけます)。佳作の人たちには、アマゾンカード・iTuneカード・図書カードなどから好きなものを選んで3000円分もらえるので、皆さん、こぞって、チャレンジしてください!
で、テーマについては、今のところ二酸化炭素、温暖化関係を考えています。(※あと1ヶ月、うんうん考えるから、変わったらごめんなさい。)
2、30年前までは、温暖化対策は経済成長と両立しないとの論調が論じられることもあったのですが、週間エコノミスト2019年12月31日・2020年1月7日合併号の記事のタイトル『自然災害の損失は「25兆円」ー気候変動はもはや一大リスク』で示されるように、温暖化対策をしないことは経済損失をもたらすことが明らかになってきています。今年、日本でも台風や豪雨による大きな被害が起きましたが、日本だけでなく世界的に見ても異常気象による被害が起きているそうです。
2019年2月22日、国連のプレスリリースによると、2018年における被災者総数は下記のようになっています。
被災者数上位10カ国(2018年)
国 |
被災者総数 |
1. インド |
23,900,348 |
2. フィリピン |
6,490,216 |
3. 中国 |
6,415,024 |
4. ナイジェリア |
3,938,204 |
5. グアテマラ |
3,291,359 |
6. ケニア |
3,211,188 |
7. アフガニスタン |
2,206,750 |
8. 米国 |
1,762,103 |
9. 日本 |
1,599,497 |
10. マダガスカル |
1,472,190 |
出典:EM-DAT(国際災害データベース)
インドでは洪水によりケララ州だけで2300万人、国内全体で3540万人もの人々が被災したそうです。
今年の日本は、台風による大きな被害がありました。ドイツの環境シンクタンク『ジャーマンウォッチ』は、2019年における気象災害による死者数・損失額などの4項目について各国の被害状況を分析し、日本の被害状況が世界1位と結論づけたそうです(ちなみに2017年には日本は36位だったそうです)。(東京新聞2019年12月5日付け参照)
だがしかし、2019年9月、ニューヨークの国連本部で開かれた「気候行動サミット」に参加した小泉環境相は、無知の極みなのであります。「クールにセクシーに気候変動に取り組む」とかの発言は、どうでもいいです。問題なのは、「毎日でもステーキを食べたい」と発言したことです。
家族や友達に発言するのならばいいけれど、日本の環境相という立場でニューヨークで開催されている「気候行動サミット」において、このような発言をすることが、世界的にどのような意味を持つのかを、皆さんに考えていただきたいのです。
少し長くてすみませんが、下記に説明させてください。
畜産業による温室効果ガスの総排出量は、地球の全排出量の18%を占めているそうです(農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所、長田 隆・永西 修著『畜産からの温室効果ガスの排出抑制技術』による)。
1kgの牛肉を生産するために36kgもの二酸化炭素が排出されるのです。車の排気ガスによる影響よりも、畜産業、特に牛肉生産における影響の方が大きいのです。
気候変動に関する政府間パネル議長でノーベル平和賞受賞者のラジェンドラ・パチャウリ氏らはミート・フリー・マンデーを提唱しています。週1回だけ肉を食べないだけで、二酸化炭素排出量削減に大いに貢献できるからです。
オクスフォード大学、ハーバード大学、コロンビア大学や、ニューヨークの公立小学校の給食では、「ミート・フリー・マンデー」が取り入られています。
さて、これらの事実を踏まえた上で、異常気象で多くの被災者が出ている日本の環境相が、『気候行動サミット』に関するインタビューにおいて「毎日ステーキ食べたい」と発言するのを聞いて、ニューヨークの小学生はどう思うんだろう?
それだけでなく、小泉環境相は海外記者から、石炭火力発電をどのように減らすのかを聞かれたとき、小泉氏は、しばらく沈黙したあと、「自分は先週大臣になったばかりなので、あとでスタッフと話し合います」と答えたのでした。
石炭は温暖化の大きな原因であるため、この件に関する質問にどう答えるべきかを考えておくのは、基本中の基本であり、その準備すらできていなかったのです。
という訳で、温暖化問題については、小泉氏を全くあてにはならないようです。皆さんが取り組んで変えていってください、お願い!!!
ところで、先ほど美容院で「TRENDY」という雑誌を見ていたら、2020年に流行るもの予想第15位が「植物性肉のハンバーガー」が挙げられていて、やったぁと思いました。
私は自分で胡桃・きのこ・黒豆・たまねぎ・トマト・ニンニク・ビーツ・ごはんを混ぜて特製ハンバーガーを作っているのですが(※結構美味しい!)、外でも気楽に植物バーガーが食べれたらいいなぁと待ちわびています。
2017年5月、世界保健機関WHOの新長官選出にあたり、200人以上の科学者・政策専門家が公開書簡を提出し、工場畜産を減らして植物性の肉の代替食品の研究を促進すべきことを訴えています。大豆ミートはダイエットのためではないのですよ。
日本において、私は「ずれた」人間であるため、上記のことは話半分で、いや話10%くらいに割り引いていただき、その上で耳を傾けていただけるとありがたく存じます。
セサミチャレンジでは肉のことは取り上げないので、皆さん安心してください(?)。データ分析によって、今まで見えなかったことが見えるようになればいいなぁと思います。
セサミチャレンジで温暖化のことを取り上げるにあたり、ひとつ懸念なことがありました。それは、マイナスの要因について考えるので、気持ちがブルーにならないか、ということです。「ああ、だめだ、地球はもうオワタ」みたいな気分になってしまわないか、それが心配でした。かくいう私も、そんな気持ちに傾きがちなので、果たしてそのようなテーマを取り上げていいのか。もっと前向きにハッピーになれるテーマの方がよいのではないか、そんなことをここ数ヶ月、ひとりでもんもんと悩んでいました。
そんな私の懸念を軽やかに吹き飛ばし、イェ~イ!とハッピーな気持ちにしてくれた本がありました。この本をみて、私はテーマを決意できました。
その本については、明日!
2020年夏:第1回セサミ・チャレンジに向けて
来年の夏に第1回のセサミ・チャレンジを開催します。そこで、当分は、セサミチャレンジに直接的・間接的に関連する本を紹介していきます。
そもそも、セサミ・チャレンジとは何かといいますと、毎回(※年1回開催予定)、1つか2つのテーマを挙げますので、それに関して皆さんのアイデアをレポート形式で出していただくというものです。私の印税の一部を賞金にあてます。小学生の部・中学生の部・高校生の部・大人の部の4つのレベルに分けます。
どんなテーマかは今考え中で、以下にいくつかの案を挙げると、
・海洋プラスチックゴミを少なくするには
・日本の食品ロスを削減するには
・太陽光発電のより有効な利用方法
などなどです。
テーマが決まれば、それに関連する書籍やウェブサイトを紹介しますので、それらに目を通した上で、皆さんに独自のアイデアを考えていただければありがたく存じます。
アイデアの例として、太陽光発電のより有効な利用方法としては、私が思いついたものをランダムに書きます。まだ全然調べていないので、今書くのは本当にテキトーですので、ご了承ください。
・車やバスの上に太陽光パネルを取り付ける
→太陽光発電とガソリンのハイブリッド車として、二酸化炭素放出量を削減する
・小型のブロック型パネルを作り、コンセントを差し込めるようにする
→マンションなどで、ベランダにおいて使える。
→停電時に少量だけど電気が使える
・小型プロック型パネルを、ジグゾーパズルのようにくっつけることができるようにする
→被災地などに小型パネルを送って、空き地などにたくさん置いて、昼間だけでも電力が使えるようにする
・ビニール素材の太陽光パネルを作る
→地震が起きても割れにくくて、使える
将来的に実用化できればとってもうれしい!ですが、まずは無事に第1回目をチャレンジを開催するために頑張ります。
テーマが決まったら、レポートの書き方の見本のようなものを、ウェブサイトで公開します。1月末までにテーマを決めようと考えています。
そこで、『こんなテーマがいい!』というのがありましたら、私及川までメールでお教えください。メアドは『sesami248@gmail.com』です。
テーマは下記に関連するものとしてください。
・気候変動問題
・環境問題
・資源保全
・食料危機対策、日本の食糧ロス対策
・エネルギー開発
実現可能な提案ができるようなテーマとしてください。
モットーは、Think Globally, Act Locally(地球規模で考え、足元から行動せよ)です。
先のテーマは、文部科学省が提言している『世界的課題の解決』を参考にしています。少し長いですが、下記に引用します。
『文部科学省における国際戦略(提言):3.世界的課題の解決
21世紀において人類は様々な世界的課題に直面する。地球温暖化を始めとする地球環境問題は、人類の将来の生存と繁栄にとって重要な課題である。2026年には地球の気温は2度上昇すると言われているが、地球温暖化が地球環境にどのような影響を及ぼすのか、科学的知見を集積して対応することが必要である。資源保全も重要な課題である。先進諸国の人は穀物や食肉の摂取分まで含めると一日に2千リットルの水を使っているというデータもある。さらに、人口増加問題も深刻な課題である。1900年には40億人を超え、2000年には60億人を超え、今や64億人に達している。このうち、80パーセントが発展途上国に居住し、約20パーセントの12.5億人が収入が1日1ドル以下のいわゆる絶対的貧困層である。この絶対的貧困層の多くはアジアとアフリカに分布しているが、これらの地域には十分な教育や就業の機会が保障されていないところもある。このような貧困は社会的不安定要素となって地域紛争やテロなどの新たな世界的課題を生み出している。
これらの世界的課題の解決のために、わが国が国際社会において果たすべき役割は何か、そのために我が国として何をするべきか、一人ひとりが当事者として考え、検討し、実践していくことが重要である。
また、新エネルギー開発、食料増産等の長期的課題は、我が国がリーダーシップを持って取り組むべき課題である。
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/senryaku/teigen/05092901.htm
何卒、よろしくお願いいたします。